薬師川虹一さんの詩がリトアニアの新聞『文学と芸術』に掲載されました。
翻訳者はさんです。

薬師川虹一

決定的瞬間




ファインダーの中で
石仏の表情が
刻々と変わる
心臓の鼓動が
二重に聞こえる
物音一つしない
山の中
木の間から漏れる
陽の光が
木の葉に当たって
飛び散る
時の流れも忘れて
ひたすら祈り
ひたすら見詰める
何を祈り何を見詰めるのか
対峙する中で
時はただ流れる
ひたすら待つ
確かに訪れるはずの
あの時を待つ
仏は座り
私は立ち
一瞬
一粒
光の滴が
木の葉に弾け
シャッターが
あっと叫ぶ

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