「会員の詩」の頁です。
関西詩人協会自選詩集(第9集)から
掲載させていただきます。
猪谷美知子
「ガラスの内と外」
羽を広げ威嚇する鴉 ゴミ袋を覗く ガラス窓から 喧嘩しなもっと捕りな漁りな ガラスの内と外 「お昼ご飯ですよ 凍える冬 すぐそこ
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所属:日本現代詩人会 兵庫県現代詩協会会員
詩誌「時刻表」「風の音」同人
著書:詩集『亀との夕刻』『水槽の中で』
大倉 元
「生きる術」
もう70年になる 中学生の時 雑木や切り草を刈り 枯れてから火を点けた 焼いた跡を鍬で掘り起こした 親父と並んで こちら側から家をみた 親父が話始めた お前もこの山を焼いてようわかっただろう 俺は80歳 これからも生き続ける
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所属:日本詩人クラブ 日本現代詩人会 近江詩人会
「風鐸」「時刻表」「ふーが」
著書:詩集『石を蹴る』『祖谷』『?む男』
近藤摩耶
「晩夏」
長く眠ったようだ 目覚めつつある草の上のたたみ 青みを増していく 身じろぎもしない建築の 亡くなっていく夏に
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所属:日本現代詩人会 日本文藝家協会 「銀河詩手帖」発行人 「歴程」同人
著書:詩集『可視光線透過率』