「会員の詩」の頁です。
関西詩人協会自選詩集(第9集)から
掲載させていただきます。
白川 淑
「花道」
|
所属:日本現代詩人会 日本文藝家協会 日本音楽著作権協会
著書:詩集『祇園ばやし』『お火焚き』『花のえまい』随筆集『京のほそみち』
関 中子
「そんなわけで」
楽しみにかたちを贈ったら 仕事だった これまでも楽しかったが これからはもっと楽しめそうだ もういちど楽しみにかたちをつくったら 詩が仕事になった 詩は 死と聞いた人をどきどきさせる その人は 聞きかえすこともできないのさ 何気ない会話ならなおさら 死を聞き返す愛や勇気は わたしは いつか詩を死といいかえるよ だからそんなに驚かないでよ ありふれた世間のできごとに埋もれ 庭の畑の来歴からもひとつの消滅は見つかる ことばにして披露すれば 今日成る思いの ……
|
所属:日本現代詩人会 日本詩人クラブ 横浜詩人会
著書:詩集『誰何』
森 清
「石に祈る」
石が並ぶ 沈黙の列 石の中の海 漂う木片 渚に打ち上げられた死者たち 祈り 祈る 土民の太鼓の音が近づく 夜への靜かな傾斜が始まる 消えてしまったものよ いま そこは冷たいだろうか 甘い果実はあるだろうか 温かい飯はあるのか インパール ガダルカナル レイテ サイパン イオウトウ オキナワ 沈んだ地名に 堆積する汚泥 頭蓋骨の裏に生えた草は重いか 一握りの軽さ 生命よ あまりにも軽い 石塊だ
|
所属:詩誌「竜骨」