「会員の詩」の頁です。

関西詩人協会自選詩集(第7集)から
掲載させていただきます。

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 あたるしましょうご中島省吾



「涙の抜け殻の女の子」



お地蔵さんになりたい、風になりたい

天国じゃなくても、楽園じゃなくても

でも私が消える前に失敗の教訓の知恵を

大切な誰かどこの誰か知らないファミリーの人に言いたい

これからはキミハキヲツケタマエ

家に泊まったり、いつも家に来たり

しょうちゃんしかおれへんのや、と

あんたしかおれへんのや、と

二〇一四年のバレンタインの夜は彼女の家に泊まって

朝まで語り合って彼女の部屋でちゅうちゅうしていた

女の子のきょうちゃんが

いつも病院でコンビでうろうろする同世代の女の子が

社会がおかしいから人間がおかしなってると言う

わたしの考えとピッタリ合う女の子が

病院のパートナー、同志が、女の子

わたしがストーカー呼ばわりでキリスト教会追い出されて不安に

なって頭がおかしくなった時も

○○学会やっていたため気持ち悪がらず

食事に行ったりブックオフでちゅうちゅうしていた女の子が

なにも知らん病院に離された女の子が

自殺しました 飛び降りました わたしは抜け殻

結婚してとかも言わないが

あんたしかおれへんのや

と言われても行動起こさなかった

ミナサンコウドウオコシタマエ

わたしが世界で一番大好きだった女の子が闘病をやめて

世界一の女の子が自殺しました

二〇一六年初頭、本当にあった涙の詩

わたしは明日旅に出ます

まだ生きて旅に出ます

それもスタートです

彼女は生まれ変わりました

うまくいかない人の感情

病気の人の感情

弱者の代弁の詩をしぶとく伝え書き続けるスタートです


 

 

所属誌:「PO」「コールサック」「星と泉」
著書:『本当にあった児童施設恋愛』『もっともっと幼児に恋してください』





早川玲子



「シショクは いかが?」

 

デパ地下などで 賑々しく

客を集める 新製品の食品などの試食

ちょっと気恥ずかしいが 興味津々 つい手がのびる

 

シ・シ・ョ・ク

詩食と 呟いてみる

あまり口当たりはよくないが

ま、いいか

“人はパンのみで生きるにあらず?

 

胸一杯の愛の想いをぎゅっとコンパクトに

心に静かに拡がる伝統の味に 一味プラス

人生を豊かに彩る温かい絆のうまみを

或いは するどく風穴をあけて

収拾のつかない苦い未来の味もありですよ

 

さてお立ち会い

詩食 あなたのお好みは?

材料は新鮮 よりどりみどり

ページを ぱらりと繰れば

こぼれ出る

すべて手作りの 詩 詩 詩……

 

さあ 右や左の食わず嫌いのお方たち

も一度 きびすを返して!

あなたの心の栄養が満ちみち

明日の風景が 深遠に 変るかも知れません

詩食の試食を

ぜひ 一口どうぞ

 

詩集:『神みしり』『わたしの薪』



福田ケイ



「この萩のなかに佇めば」

 

 

裏庭の勝手口につづく小道は

白色と紅色の萩におおわれていた

小道を通ると花びらが はらはらと全身に降りかかる

 

この家に嫁いで五十年がたった

今も萩のなかに佇めば いろんなことを思い出す

 

 勝手口に酒屋さんが「まいど おおきに」と言って

 二十本入りのビール箱を肩にかついでくる

 洗濯屋さんが「涼しなりましたなあ」とか言って

 月曜日と木曜日にはかならずきた

 宅急便の配達人 隣人は回覧板を持ってきて

 ときには長々とおしゃべりに夢中になった

 

 みんな 降りそそぐ萩の小道を通って……

 

 私は息子と娘を産み育て

 夫と欧州の地に住んだこともあった

 帰ってくると萩は白色と紅色の花弁をひろげ

 みずみずしく咲き誇っていた

 これぞ 日本の花と思った 遠いむかし……

 

 この家でいっしょに暮していた

 夫の妹たちが結婚し

 舅が逝き 息子は独立したが

 嫁いだ娘は三十四歳で死をむかえた

 姑ももうこの世にいない

 

そして 勝手口の扉は閉じられた




所属誌:沙羅






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