「会員の詩」の頁です。
関西詩人協会自選詩集(第7集)から
掲載させていただきます。
左子真由美
「わたしたちは風」 |
所属団体 関西詩人協会
所属詩誌 『PO』
市原礼子
「モンステラ」
大きくてやわらかな掌で 満々と深緑をためた モンステラ まあるく満ち足りたと思う間もなく 指の間からこぼれ落ちていく
はじめから足りていたのに ぬけ落ちていくものを見るのにいそがしく ごめんなさい 無垢な微笑みに気がつかなくて ほんとうにごめんなさい
内側から いつのまにか穴があき 深いところまで葉縁はきれこみ とおくに行ってしまったのね もうこれ以上は無理なところまで
それでもモンステラの葉は 子をおもう母の心を忘れることができなくて ごめんね ごめんね レースのカーテンをゆらしながら やさしく緑の風をおくってくる |
所属団体 関西詩人協会、日本詩人クラブ
所属詩誌 『RIVIERE』『柵』『瑠璃杯』
主な著書 『愛の谷』
清水一郎
「サクラ狂詩曲」
春 一番に咲いて ありったけの色香 惜しげなく振る舞う サクラよ 気っ風の良さ 眩しすぎるぜ
身木を抱き 頬を寄せれば 脈々と息づく サクラの精に 突きあげられ 手も無く感染するなんて
それは ちと さびしすぎるぜ 開き直って ど根性 見せてやらんかい 粋がってる 昭和一桁の狂いうた
一番に咲いて サクラよ もう散るか ひらひら ひらひら 真っ只中で 涙ぽろぼろ 呆けて立ちつくす |
所属団体 関西詩人協会
所属詩誌 『軸』
主な著書 『ちょっと見えてきた』『糸とりうた』