「会員の詩」の頁です。
関西詩人協会自選詩集(第7集)から
掲載させていただきます。
今回のテーマは「川」です。
井上哲士
「賀茂川夕暮れ」 ゆりかもめの遊ぶ浅瀬にひろがる 生まれ故郷を偲びながら 春に目覚めて やがて光は薄らいで 北山大橋のシルエットが |
所属団体 関西詩人協会、現代京都詩話会
所属詩誌 『呼吸』
桂あさみ
「あそびごころとふるさとの川」 床(ゆか)の下を流れる水色の中に 一枚 また一枚ぬいて 目を奪われ 魚になりたかった わたしは 岩の間を縫って |
所属団体 新日本文学会、兵庫県現代詩協会、新現代詩
和田杳子
「河鹿蛙」 もう二度と立てない位に やせ細った母の足を撫でながら 束京の大空襲の中 妹を抱いて猛煙をくぐった母の足 焦土と化した東京から 冬眠から覚めた五月の日暮れ 繊細な無数の鈴 そして盛夏のある日 淀んだ水の石陰や野草の根に卵を託し 古里を離れて幾十年の歳月 |
所属団体 日本ペンクラブ、メディチ文化協会
所属詩誌 『コスモス文学』
主な著書 『蟹』 『雨蛙』 歌集『月の琴』