関西詩人協会運営委員の頁




北村 真



「にがおえ」

 

 

みっちゃんが

ぼくのまえに坐る

古いスケッチブックの

真っ白なページを

テーブルの上に広げる

黒のマジックペン にぎる

 

にぃー と

めを のぞきこんで

かお かいていいですか

みっちゃんが

いう

 

なすびのりんかくに

だんご鼻をつけ

ちいさな耳をそえる

くるくるの毛が頭にはえて

くちができて

あごにひげがのび

めがねをかけて

ぼくができあがる

 

ぼくよりも

ぼくらしいかおをかこんで

あの日がわらってる

 

われを忘れそうなときは

うしろの

ページからめくる

 

みっちゃんの

ぼくに会いに行く

inserted by FC2 system