関西詩人協会運営委員の頁
岩井 洋
「つるバラ」
伸びすぎたつるバラの枝を剪った 庭の片隅の木立に沿って伸び 大空に向かって勢いよく広がっていた
白いバラの花が美しく咲き誇って 五月は去っていき 夏の日に枝を伸ばしきっていた
やがて、嵐の過ぎ去ったある日 伸びすぎた枝を季節外れに剪定して トゲを指にさしてしまった
かつてバラのトゲを指にさし 命を落とした詩人がいた 美しいバラの花の詩を残し
見つめると指の先から やがて過ぎる夏の陽射しを映し ルビーのような血の珠がにじみ出ていた |