嘘は戦争の始まり


方葦子

 


 

 プーチン露大統領のことを評して、毎日新聞五月十日の余録の短文は語りつくそうとしていう。

 「ああ、俺はつらいよ/生みの国に住みながら/いつまでもこの圧制と/つらい運命の中で/一生を終わるのか?」「ロシアはもうまっぴらだ!」
 一八二五年末、帝政ロシアに反旗を翻して鎮圧された若き貴族が残した詩の一節だという。反乱の参加者はロシア語の十二月(デカブリ)からデカブリストと呼ばれた。帰還した将兵はデカブリスト化を警戒され、多くが収容所に送られたという(改行はしたが、他は全て新聞のまま)。

 プーチンはウクライナ侵攻を「ネオナチとの衝突」などと正当化した。その恐ろしい偽善者め! 手前こそナチスの再来ではないか。嘘と非人間性にまみれた頭と手で、学校をロケット弾で破壊してなんの痛みも覚えないらしい。

 戦場はどこだ。ウクライナだ。圧倒的な戦力に優る露軍がウクライナの高層マンションを一方的に爆撃して恥じない。学校や病院を攻撃して恥じない。そして、「ロシアは予防的に侵略者を撃退した」と(対独戦勝記念式典での演説)。

 侵略者?

 予防的に?

 ウクライナは病原菌か!

 

                     



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