アメリカ大統領選挙雑感


根来眞知子

 

          

 今年はアメリカの大統領選挙の年である。四年前の選挙の際、得票数では勝っていたヒラリー クリントン氏が破れ、誰もがまさかと思っていたトランプ氏が大統領になったので、今回はどうなるかという思いは強くなっていた。マスコミもそんな思いだったらしく、十一月三日の投票日が近付くにつれ報道は過熱気味になり、赤と青に色分けされた合衆国の地図がでてくるわ、コメンテーターや有識者の解説は増えるわ、だった。しかし複雑極まりない他国の選挙の予測をするなどおこがましいのではないか。しかもコロナ禍の影響で、渡米もままならない為もあるのか誰の解説も及び腰の面があり、どちらが大統領になるのかは現時点で予測するのはむつかしい、投票の結果次第だという当たり前のものだった。投票日が過ぎ開票が始まってからが長かった。日本の衆参両院の選挙では、最近は出口調査とかで投票が終わるや否や結果が出始めるのに、あちらさんは出ない出ない。一週間以上かかって、結果は民主党のバイデン氏が大統領になるという報道が出た。しかしアメリカの大統領選では敗者の「敗北宣言」があって初めて大統領が決定するのだとか。そしてトランプ氏は敗北を認めないのだとか。

 日本が戦争に負けてアメリカの占領下で民主国家に舵を切って以来、アメリカは民主的大国でその核の下に守られていれば日本は安泰だと教えられてきた。その国の現大統領がこんな有様ではいかがなものかと私でさえ物申したくなる。民主主義だ、国民の総意の元の政治だとか言ってもこんな程度なのか。大金がかかり、膨大なエネルギーを費やす選挙制度を、しかし今更どうにもできないのであろう。世界には独裁国もあり、インチキ選挙がまかり取っている国も多い。投票の数えなおしをやる(しかも手作業で)アメリカは正しい民主国家なのかもしれない。しかし一連の報道を見ていると選挙にエネルギーをかけすぎて、以後は自国の事しか考えられない利己的大国になっていくのではないかと思ってしまう。早く次の大統領が決定し国内の融和を図ってほしいと、おせっかいにも思っている。        

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