盛り上がった関西の詩祭
21世紀へ言葉の花火を

 関西詩人協会の主催で、2000年9月2日の午後3時から、應典院本堂ホールで総力を結集して開催、予想をはるかに超える130余名の参会者で、円形ホールは熱気に包まれた。
 このイベントを担当して企画・実施に尽力された日高てる下村和子白川淑の諸氏に敬意をはらいます。(会報19号より)

総合司会は高橋徹氏、現代詩の催しの中で薩摩琵琶が登場し、尺八が出てくることはまあないと思います。日本人が遙かに思っている詩と幻想が随所に出てきます。このようなお祭りは初めてでしょう、どうか最後までお楽しみ下さい。

杉山代表の開会の挨拶、関西詩人協会も足かけ7年になり大阪を中心に京阪神、三重、名古屋から参加があり、違った個性の集まりながら、詩を通じてお互いが溶け合う集団になりました。20世紀が終わる今、新世紀を「言葉の花火」で迎えたいと思います。
日高てる氏 舟が山に登るように、この円形ホールを「言葉の花火」で一杯にしましょう。言葉の日本の花道にしようと、白川産、下村さんと相談しました。私は縁の下の力持ちの役目になれば嬉しいです。
    その後「物語文学と朗読」について語った。

中山鳳水氏が「平家物語―壇ノ浦―」を薩摩琵琶で弾き語り、哀愁をおびた音色に観衆は魅了された。
自作詩朗読は、
白川淑 「はんなり 花あかり」「秋簾」「虹を詩う」
薬師川虹一「ミント」シェイマス・ヒーニー仏蘭西文・日本語文
青木はるみ 「水切り」
香山雅代 「鏡のなかへ」
有井泉「怪鳥ラムジャン」
福田万里子 「花の谷間で」
岡崎 葉「新世紀の街角で」
三木英治「ひとかどい」ジャン・コクトー仏蘭西文・日本文
下村和子
「鈴」
各氏が、各自の持ち味を遺憾なく発揮、ウベ・ワルタ氏が尺八を要所に入れて伴奏した。


 一旦、休憩のあと、ウベ・ワルタ氏の尺八演奏。そして注目のイベント
「21世紀へ言葉の花火を」が、日高てる氏の演出で、音響、照明を駆使して進行、琵琶と尺八の伴奏で大きく開花した。以下にシナリオの全部を紹介します。本場の情景を描いて頂ければ幸甚です。


照明次第に暗くなる。
志賀みんなで打ち上げましょう。志賀英夫氏
   21世紀へ言葉の花火を。
   あなた あなた 一人ひとりが主役で す。
   関西詩人協会ができて七年目です

   このイベントは あなた あなた 一 人ひとりが主役です。
スライドの花火壁に写り 消える
日高関西詩人協会
杉山21世紀へ 言葉の花火を
客席の処々から声 復唱
杉山さらば 20世紀 さようなら
客席からも復唱
江口深い藍の底から湧いてくる さかなの速度
   貝の跳躍
    ゆらめく海
藻の森を
    はるかな螺旋の頂きへ

    母の潮
    父の潮
    満ち干きのたゆまぬ
音階を
    静かに語りはじめる。

尺八 琵琶 次第に高く
杉山・21世紀の純白な雪が 早くも
    あなたを埋めはじめる

    冬きたりなば 春遠からじ
    言葉の花火をうちあげて
    21世紀 あなたを迎えよう
音響 二階席から
中岡・踏み込めない太古の森中岡淳一氏
    ひたひた ひたと集結する町衆
    脱皮する 世紀の時よ
    蘇れ 自治都市 堺

・  汀線とおく原圭治氏
    世界一大きい大山陵か
ら四つ池遺跡あたりまで
    海からの黄金の日々は 真昼の花火と 炸裂する
    かつて千利休はわびを流し

    晶子は情熱の歌を流し
    安西冬衛はザビエル公園に詩をとどめ
舞台に津坂 司の二人シルエット
津坂・鈴鹿の郡山から言葉の狼煙を上げる津坂治男氏
    山越えて大和へ
    おみなよ 花は咲き始めたか
    歌垣の火は灯されたか

   紫陽花に被さって
    貴方様から赤い
のろしが噴き出してまいりました
    ここは大和の郡山
    小野十三郎が育っ
たところ
津坂・〈人間の夢の中にのみある 絶対 の高所〉
    から小野さんも見たいのちの
讃歌
    萌えて
    潤んで
    山辺の子宮か
ら 空のまほろばまで
・ 山辺の子宮といえば卑弥呼
    邪馬台
国の女王をわたくしは思います
   わくわくしてまいりませんか
    なにか
聞こえてはまいりませんか?
津坂・叫びとあえぎ渦巻く火柱が舞う
   あかあか難波の湊目指して
    ご一緒に

    あかあかと言の葉かかげてまいりましょう
    赤々と

    あすを目指して 赤々と
二人道行き 客席へ
明珍・へぐり へのくに へのこのくに
    へのこ なにがし あなたのくによ
    へぐりの山の くまがしは縄の文様くりたたね
    ぎざぎざ葉っぱ そのままに
    へのこのくにを とりまいて
    あなたの夢の たかぞらに 万古のみどり映し出す
    へぐり へのくに へのこのくに
    へのこ なにがし あなたのくによ
金堀・交野のひ、ひの鉢かづき姫
    ひをかぶる一七才のおもみ
    かるくなれ
    かるくなれ
    かるくなれば ひからぬけだす空ができる
島田・ほっとけ なんきん
    おっとを なんべんかえたかて島田陽子氏
    ほとけの かおは三どまで
    おっとの かおは四どまで
    ほっといてんか いんでんか
竹内 ・琵琶湖は 一四〇〇万人の水甕だ
    くさいくさい あおこが でた竹内正企氏
    かびくさい 赤潮がでた
    下水処理すると ホルモン水で
    ホモが 増えるぞ

琵琶入る
福中・ここは難波 道頓堀川
    小野十三郎の詩碑がある
    小野十三郎はいいました
    現代詩は批評だ 批評はリズムのことだ と
    小野十三郎は生きている

南村・山風が閊えた
    果てなし沢の真ん中から
    あの一本の
棒立ちの虹
    棒立ちの虹
客席からも棒立ちの虹
白川・Arainbow
    橋を架けよ
    大文字山から 虹の橋を
    赤とう 黄りょく 青らん 紫
    Passionate 妖しい色して
左子はシャンソン「パリの空の下」 歌いながら客席から
つづいて、客席の後ろから 森田「草原情歌」をハーモニカ吹奏で森田魚山氏
オルトナストはモンゴル語で歌いながら登場
オルトナスト母はわたしの 運命の四
   わたしは母の 人生の歌謡

モンゴル語でくり返す
森田と「草原情歌」を歌い客席へ
左子はシャンソン「パリの空の下」を歌いながら上手から
左子・くらやみの中に弾ける花火
   それは言葉のかけら
    魂の炎 愛のように 闇を輝かせる
    le feu d'atice eclate dans le noir
   c'est le flamme de l'ame
   comme l'amour
    brillante des tenebres
南村・果てなし沢の真ん中から
    あの一
本の
    棒立ちの虹

白川・ぱっとはじけて
    はらりとひらい

   遠くのほうで こぼれていく
   光
の雫
林堂・アオテアロア
   白い雲の長く
   たなびく国よ ニュー
ジーランド
   季節が逆のニュージーラ
ンドから帰ってきて
    片足を日本につ
けた途端
   いつもぼくは 何かを忘れ
てきたことに気づく
   短い滞在ニュージーランドに いったい何を忘れてきたのか
   アオテアロア 白い雲の長くたなびく 国 よ
神田・世界とは
   ほんとは
私と
   あなたの 手のぬくもり

照明暗く しばらくして全開
杉山 正面の位置に 花火
全員 各々の席から
21世紀へ言葉の花火をと叫び登場
琵琶、尺八の音、大に


                 ―幕―


 懇親会は同ホール内の集会室で約60名 が集い、横田英子氏が司会。開会の挨拶 を青木はるみ氏が行い、まず91歳のご高 齢で松山から参加された山本耕一路氏を 紹介、これに応えて山本氏の自作詩の朗 読。他に舞踊家シャクティさんの母堂、 川上明日夫、鈴木漠、作曲家の物部一郎 氏らはスピーチをされた。 会場は狭かったが歓談の渦が巻いて、和 気藹々。最後に島田陽子氏が謝意を述べ て幕をとじた。




日高てる氏


青木はるみ氏


尺八奏者ウベワルタ氏


薩摩琵琶奏者中山鳳水氏

薬師川虹一氏
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