第十回関西詩人協会総会レポート















総会日時:2003年11月30日午後2時開会
場所:東興ホテル
参加数:79名(当日出席予定94名・委任状123名)



第一部司会・下村和子委員
 始めに会員の田井中弘氏と向井洋氏の冥福を祈って黙祷した。
 薬師川委員から「関西詩人協会は十歳である、大人である二十歳になるまで大きな飛躍が果たせることを願っています」と小野十三郎生誕百年や今回の『日仏翻訳詩集』にも触れて、開会の挨拶があった。
 杉山平一代表から「ここまで成長してきたのは、運営委員会の力による」と委員会の仕事に言及された。続いて「独りでいると独りよがりになります、また集団の中にいると自分を失ってしまいます。詩人の仲間が群れ集うことによって、独りよがりを反省できます。このことが十年の歴史によって分かってきました」との言葉であった。

 以後、予定通り(横田英子委員)が報告され、
@運営事業報告(佐古祐二委員) A会報発行報告(志賀英夫委員) B会計決算報告
E次年度予算案
(横田英子委員)

C会計監査報告
(水谷なり子監査委員)
D次年度事業計画案
(外村文象委員)
纏めてF質疑応答・採決

規約改正について
 @第2章1条c項「会員一名の紹介を受けて入会申込書を提出する。または、運営委員会の承認を受ける」となっていたのを
  「会員一名の紹介……提出、……」とする。
 名誉会員の創設 五年間協会に在籍した会員が、八十歳に達する年の年度の会費から、当該会員を「名誉会員」として
  会費支払の免除する。
 大阪文化団体連合会への参加が承認された。

 質疑応答の中で「杉山平一代表が、お友達とも言われている小野十三郎を冠した賞を受けられたのはどうしてか」という非常にユニークな質問があって、これに杉山代表が「私も賞の発起人の一人なので、そうはならないだろうと思っていました。決定の通知を受けまして、戦後にそういった賞を貰ったことがなかったので、嬉しさの余り……どうもすみません」というこれまたユニークな答弁だった。
 
 中岡委員により、新入会員の名前を挙げての紹介があった。
 金堀事務局長より「各担当委員に助けられてやってきました。来年は十周年を迎え、ますます発展しますように、会員の皆さまのご協力を頂きたい」との閉会の挨拶があった。

 第二部は日高てる委員の司会により小野十三郎生誕百年を記念してスピーチがあった。
 

青木はるみ委員は、氏が帝塚山学園の講義をしておられた頃の作品成立のプロセスについて、リアリズムを大切にしながら虚構の世界に踏み込む具体的な有様を作品「明治のすき焼き」に沿って話された。
杉山会長は「短歌的抒情の否定」について話された。小野十三郎氏が一番好きな詩を問われて、佐藤春夫の詩を暗唱された。氏は叙情詩なんかを全て呑み込んでおられ、それが嫌なものだから、その自分自身の体質を否定しようとして、ああいうリアリズムの詩ができたのだと思われる。時代を見、政治的な流れを自分自身のものとしようとしていました。最後に、詩集『いま居るところ』から「前夜」を朗読された。
日高てる委員は、戦後小野十三郎氏が関西に居を定められた頃からのお付合いの様子を話された。続いて氏ご自身の朗読で詩「梅田の風」と講演会の録音テープが流された。
 最後に、物部一郎氏の作曲による小野氏の詩「一人の山」を聴いた。


田 原氏による講演は別掲

第三部「訳詩集『言葉の花火』並びに会員の詩集等の出版を祝う会」が総合司会原委員によって進められた。
村田委員の開会の言葉、
『言葉の花火』翻訳者の紹介を「Michael Madhusudan(M・M)」賞の受賞のためインドへ行かれた有馬委員の代わりに、出版の労を執られた出版社「竹林館」の左子真由美会員がされた。

左子真由美さん ラローズさん
ラローズ氏は今回の詩集の翻訳を一手に引き受けられたが、今までにも沢山の翻訳をされたが開高健の「夏の闇」で野間文芸翻訳賞を受けられて、現在は「赤穂浪士」を翻訳中とか。

 美濃千鶴氏、佐古祐二氏、永井ますみ、杉山平一氏がそれぞれ自作氏を朗読して、フランス語で朗読するという手順で行われた。言葉は違っても、朗読のニュアンスが似ているのは、ラローズ氏があわせて下さっただけなのかも知れないが、興味深いことだった。

美濃千鶴さん 佐古祐二さん 永井ますみ 杉山平一さん

会員の刊行詩書を島田陽子委員が紹介された。今年も二十六冊という、沢山の収穫があったが、今回は時間が押していて、その場で起立・拍手で祝った。
 乾杯の挨拶を福中都生委員がされた。乾いた喉にビールがとても美味しかった。以前からの知り合いや、新しく知りあった方とも、仲良く喋りあった。途中に尺八の演奏があったりして、メリハリの効いた懇親会であった。
    (文責・永井ますみ)


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